高校の時、音楽の先生が話していた。
生まれながらに、指が4本しかなかった子供のことを。
初めは、親に言われたこともあり、ずっと手袋をしていた。
「どうしていつも手袋をしているの?」
黙り込むことしかできなかった。
どうしても塞ぎ込みがちだった。
自分は、指が一本「欠けている」。
指がない、自分は欠陥のある人間だ。
きっかけを話してくれたかもしれないけど忘れてしまった。
ある日、手袋を、脱ぎ捨てた。
そして、聞かれるたびに説明した。
足が速い人、頭がいい人、背が高い人がいる。
それと同じように、指が4本の人も、いるんだ。
自分がひた隠しにしていた、ちょっと足りない手は
周りの人からすると、気にすることでもなかったみたい。
むしろ、だんだん可愛く見えてきた。
こんな話。
今思うと、創作かなとも思う。どっちでもいい。
僕は、擦り傷ばかりしていた子供の頃を思い出していた。
ガーゼや絆創膏で覆っていると、擦り傷はなかなか治らず、
消毒だけして、そのままでいた方がずっと治りが早かったな。
確かに、まだ血が止まっていない段階では絆創膏などで覆うことは大事。
ちゃんと守ってあげないと、痛いし、色々なところをよごしてしまう。
でも、どこかで絆創膏を取り払い、
自然に晒さないと膿んでしまう。
どこまで守り、どこで"自然"に晒すか。
難しいけれど、ずっと考えていないといけない気がする。
人と人との関わりも、そう。
一応、教育をする立場。
どこまで守り、どこで"自然"に晒すか。
優しく、褒めているのは楽だ。好かれるし。
でも、それだけだと、たどり着けない場所があると思っている。
本当に相手のことを思ったら、守ってあげてばかりじゃダメなんじゃないか。
それでいて、厳しさばかりだと、萎縮して成長が阻害されることも。
多分正しいと思っていることがひとつ。
基準がはっきりしている必要がある。
いつ、褒められ、いつ、厳しくされるか。
そうはいっても、人はどんどん成長するから、絶対的な基準はない。
うーん、わからないけど、考え甲斐があるなと思っている。
うーん。そうやって、考えて考えて。
一緒に成長するのが教育かもなと思っている。
うーん。