すこしだけジャグリング、お手玉ができます。
ボールが3つも4つも舞うのをみて、すごいと思う人もいるでしょう。
でも、ボールひとつなら、だれでもできることを繰り返しているだけでもあるのです。
ボールをなげて、とる。
簡単と思うかもしれません。
だけれども、
ボールの軌道は毎回おなじか?
利き腕でない手でなげてみたら?
目をつむってもきちんととれるか?
やろうと思えば、いくらでも課題がみつかります。
そして、それらができるようになったとき、
「ボールをなげて、とる」ことが本当の意味でできるようになったと言えるのです。
そのときはじめて、ボールの数を増やして、次のワザができるようになるのです。
数学にはとても難しく、理解できそうにない理論がたくさんあります。
だけれども、よくよく見てみると、どれも小さなものの積み重ねです。
ひとつの定理の
その主張をじっくりじっくり眺めてみたり、
いろいろな例に適用してみたり、
すこしだけ間をおいて、自分の頭で証明してみたり、
そんなことをして、本当の意味で理解する。
すると、次の世界がすこしだっけくっきり見えてきます。
そうして、また次の定理を理解して、
くりかえすのです。
ジャグリングでは、ボールの数やワザにはどうしても制限があります。
でも、数学は
ボールをひとつなげることから始まって、
「ボール3つ4つなげる」できるようになると
新しいボールが現れて、
そのボールひとつには「ボール3つ4つなげる」
というワザが"ふくまれて''ていて、
そのボールをまた3つ4つ、なげて、
くりかえして
いつのまにか、とてもたくさんのワザをふくんだボールを3つも4つも5つも、もっと
自在になげられるようになるのです。
いくつもの定理をふくんだボールを、ふくんだボールを、ふくんだボールをなげて
新しい定理に出会うのです。
なげてなげてなげる。