料理をよくします。
何かを作る過程を自分の手で体験するのが面白いという理由ともう一つ、
いろいろな場面で役に立つと思っている理由があります。
研究というのは基本的には失敗します。
毎日、たくさんの失敗をして、その上で得られた小さな成功を集めてきたものが成果です。
わかってはいても、失敗が続くと、うまくいくものも、うまくいかなくなるのです。
海外にいて、英語で伝えることに失敗し続けると、
本来伝えられたことも伝えられなくなりました。
日本人に出会って、すこし日本語を使って「伝わる」経験をすると、
英語もすこしは伝わるようになりました。
バスケで中長距離のシュートが入らなくなった時、その距離で練習し続けるより、確実に入る距離からすこしずつ距離を伸ばす方が早く「入る」ようになります。
囲碁や将棋では、試合前に「(自分にとって)簡単な詰碁、詰将棋をとく」というのが、非常に効果があることがしられています。
うまくいく経験を、からだにあたまに、植えつけるのです。
(いろいろな例の、底に流れる考え方を抜き出すのが抽象化でした)
丁寧に作れば、難しくない料理なら大抵はうまくいきます。
失敗し続けたあたまに、「できる」という体験をさせるのに、ぼくは料理をしています。
あんまりレシピに頼らずに、自分で考えて作ってみるのが「できた感」を得る、コツです。