辞書にはたくさんの言葉が順番にならんでいます。
最初の一文字目を比べて、同じだったら二文字目、・・・
どこかで「先に出てくる」文字があれば、辞書でも先に出てきます。
"先に出てくる"数字は小さいです。
同じように先にでてくる言葉も``小さい''ことにする、
あい<あお<かお・・・
と不等号の記号で書くことができます。
同じことを、「数字のペア」で考えてみます。
$(0,1)<(0,2)<(0,100)<(1,0)$とさっきと同じように
最初の一つ目の座標($(a,b)$なら$a$)を比べて、同じだったら二つ目の数字を比べます。
辞書と同じように決まるので、これを辞書的順序とよんだりします。
この順序をみて、ぼくはとてもしみじみしたのです。
「目の前の壁」を乗り越えていけば、いつかはきっと到達できる。
とくに理由もなくそう思っていたのが"間違い"であると辞書的順序はいうのです。
$(0,0)$ の「目の前の壁」を越えると$(0,1)$。
一万回乗り越えて$(0,10000)$ となっても $(1,0)$ と
$(0,0)$からたった一つ数字を変えたものに絶対に"勝てない"のです。
あいうえお、なら大丈夫。
おわり、があるから、いつかは"繰り上がる"。
でも数字は無限個あって、おわりがないのです。
だから、"そのまま"では、
絶対にたどり着けない場所が、
生まれてしまうのです。
なんとなく、目の前のことに追われて
「頑張ってるつもり」になること。
本当はこのままではいけないと思っているのに、
"少し前に進む" からなんとなく続けていること。
それらは決して目標へ続く道へとはならない、
そんなことがあるのだと知りました。
二つの数字のペアを考えたから"上の"座標は一つでした。
でももしかしたら、10個、100個、もしかしたら無限個、座標があるかもしれません。
努力は正しい方向に向けないといけないのだと、辞書的順序に教わったのです。
新しい理論を学ぶと、身近なことが新しい目で見える、初めての経験でもありました。
あいうえお。