ぼくは工学部に入り、その後大学院から数学をやるという
少し変わった道を通っています。
工学部に入った理由のひとつが
「自分より強い囲碁のプログラムをつくりたい」でした。
今思うと、情報科学科に入るべきだったのですが、
当時はあんまりよくわかっていなかったのです。
当時、ぼくが知っていた人工知能や機械学習と現在のそれはもう
同じものとは思えないほどにレベルが違います。
大学一年生のときに一番強かった囲碁のソフトは寝てても勝てました。
今、フリーで落ちている囲碁のソフトにぼくは負けます。
AlphaGo にプロ棋士が完敗し、大きなニュースになりました。
最後の砦、囲碁が負けていろいろな意見が聞こえてきます。
なんというか、ぼくは結構ワクワクしている派なのです。
囲碁では伝統的に"正しい"と信じられていることがたくさんありました。
でもそれは、必ずしも、いつも正しいとは限らないとAI が教えてくれました。
なんか自由だなと思ったのです。
「こうするべき」
それは、大抵は正しいかもしれない。
けど
盤上で人々が2000年以上も研究し信じていた「こうするべき」は
そうとも限らなかった。
きっと「こうするべき」は安全。
でも、そうとも限らない、なら
やりたいように、やってみてもいいんじゃないか。
そしたら、もしかしたら。
むかしの目標が終わってしまったのをみて、
いま、何をするべきかいろいろ考えているのでした。