2018年11月24日土曜日

演習

微分積分学の演習を担当した。
元工学部、数学の中でも遊び人
(分野にとらわれず、遊ぶ)のプライド?で
"意味のない問題を出さない"ことを頑張りました。

エントロピーであったり
人工知能で使われる色々な関数であったり。
知っていることが大体ですが、
中には「これ、一体どう使うんだろう?」
と色々調べたものもありました。

その中で一番よくわからなかったのが
双曲線関数
$\cosh$ とか$\sinh$ とかです。
ぼくは双曲幾何学を研究してるから
使うけれども、それはかなり特別な使い方。

調べてみると
これは、懸垂線の長さになるそうで
$\displaystyle\int_{-5}^5 5\cosh(x/5)$
などとすると、あるたわみ具合の懸垂線、
例えば電柱間の電線の
長さが求められる、とのこと。

ふーん。

こうやって色々調べながら授業をしてみると
一年生の微分積分学は
これから色々な理系の分野に進んでいく
色々な人の基礎に確かになっていくのが
とてもよくわかって、とても楽しかった。

もちろんぼくも大学1年生をやったのですが
こうやってもう一度みてみると
うむ、世界は広がっているなと思ったのでした。



2018年11月17日土曜日

校長先生のお話

「校長先生のお話」
大抵はつまらないものの代名詞。

中学、高校の頃
ぼくは校長先生のお話が楽しみだった。


青春という文字に、なんと横棒の多いことか。
諸君、この文字は幾多の苦難、挫折を乗り越えて進む
まさに青春そのものである。


男子校の良いところは、学内に男しかいないところであり
男子校の悪いところは、学内に男しかいないところである。


楽しい練習はない、厳しい練習を楽しめ。
ある部活動の合言葉に、私はひそかに膝を打った。



記憶を辿っているのできっと色々違うけれど
今でも覚えているのだから、すごいことだ。

ものすごい量の本を読む方だったとのこと。
本当は、作家になりたかったけれど
周りの期待と、母校への愛のため
校長先生を引き受けた、らしい。

彼のおかげか、国語の先生に面白い人がたくさんいた。
ぼくは、数学者である。
30歳を超えるまで、文章を読むのが
とても、とても苦手だった。
ここ最近、なぜか
むかし国語の授業の課題で
買わされた小説を読み直していた。
かなり古い言葉で書かれているものも多い。
当時、文章を読むのが苦手で仕方なかったぼくは
読むのが辛くて辛くて、辛かった。

いま、ぼくはそんな小説を、原文で読める。
面白い、と思える。

干支ひとまわり以上して、
漸くぼくに面白さをくれた、課題図書。

教育とは、いったいなんだろう。
少しずつ存在感を増す冬の香りを感じながら
不断より少し、静かに考える。

先日、校長先生が亡くなったそうです。
ご冥福をお祈りします。

2018年11月10日土曜日

まなぶ

5年以上前に書いたもの。
書き残すとは大切ですね。

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小学校から英語を学ぶ事について
最近いろいろ議論があるようで。
「日本語力も下がっているのに英語なんて!」
そんな意見が大半。

英語を勉強したら、
日本語ができなくなる
って本当だろうか。
僕は英語を勉強して
実際使ってみて、はじめて
「日本語でしか表現できない事」
に興味を持ったし
「自分が日本語を上手く話せていない」
という事に気づいた。
だから、もっと日本語について
知りたいと思うようになった。

「学ぶ」というのは、一つを入れたら、
他が追い出されるようなものではなくて
新しい何かを見たら
いままでの知識とまざりあって
さらにいろんな興味を
生み出すようなものじゃないのかな。

だから、僕が一番大切だと思うのは
こういう「わくわくの連鎖」みたいなものを、伝える事。
わくわくしちゃえば
人はいくらでも学ぶものだと思うのです。

2018年11月4日日曜日

テイラーの定理

テイラー展開。
様々な関数を、"ずっと続く"多項式に展開する。
これがとても便利。
そして、数学的にも大事。

コンピュータの上で sin関数を実装しようと思ったら?
ぼくらはテイラー展開を知っているので
欲しい精度でsin 関数を計算することができる。

(実を言うとコンピュータは
足し算をしたり、かけ算をするだけでも
少しずつ精度を失うのでテイラー展開だけだと足りない。
そこのところを詳しく知りたい人は
ぼくも著者に、一応、入っているこんな本もあります笑)

さてさて。
$\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{P_N(x)}{e^x} = 0$
を示してくださいという
問題を出した($P_N(x)$ は$N$次多項式)。
指数関数の収束の"力強さ"を感じて欲しかった。
テイラー展開はなんで指数関数が"強い"のかを教えてくれる。

いろいろな問題に取り掛かる際
解に指数的に収束するような"解法"を
持っていると、多項式オーダーの誤差に
"まけない"。

実を言うと、ぼくの専門としている
双曲幾何は色々なものが指数速度で収束するので
多少の誤差をもろともしない議論ができて
結果として、世界が豊かになっている、
・・・たぶん。


少々ぼくの趣味に走ってしまいましたが
他にもいろいろ便利な
テイラー展開、どうぞよろしく。