2018年12月29日土曜日

作り手

年末ですね。
少し前にリベラルアーツ教育うんたらで
映画監督さんや映画評論家の方を呼び
映画の色々なシーンをみながら
色々な話を聞くイベントがありました。
その時、印象に残った言葉メモに


(i) 共同体は異物を入れることで初めて描ける。
(ii) 若い頃たくさんの映画をみると
あたかも自分が巨匠になったかのような錯覚をし
他の監督を軽視しがち。
(iii) いま、自分にとって昔の偉人であった人が
乗り越えないといけない現実の壁だった人たち。
そのプレッシャーたるや。

とありました。
(ii)と(iii)はとてもよくわかると思いました。
特に(ii) は正直今でも自分はその嫌いがあります。
ぼくよりずっとすごい人の数学でも
「たいしたことないなぁ」と思ってしまったり
そうして自分のこれまでの数学を思い返して
ショックをうけたり。

(iii)  Thurston や Gromov といった人たちと
同世代だった、たとえば日本の数学者は
どんなプレッシャーと戦ったのだろう。

(i) は映画なら、ふむ、なるほどと思う。
数学だと?
境界やカスプがあると多様体を"見る"手がかりができて
色々研究がしやすい、とそんな感じかな?

今日は、数学者や用語をあまり気にせずに書いてしまいました。


でも、一番印象に残っていることは
(i)(ii)(iii)はすべて監督さんの言葉であるということ。
批評家の人が、何をいってもぼくには響かなかった。

作り手である、ことはきっと
とても大事であると思ったのでした。

2018年12月22日土曜日

技術

1年生の数学では
"あたりまえ"
に見えることを、丁寧に丁寧に議論する。

そんなに丁寧にやらなくても
あたりまえ、でいいではないか!
気持ちはよくわかる。

あたりまえ、と感じられるのは
実は大事な才能だと思う。
正しさを感覚でつかんでいる。

ただ、とんでもない天才でない限り
あたりまえ、は通用しなくなる。

だんだん状況は繊細になり
感覚だけでは、正しさを捉えられなくなる。

だから、「技術」を身に着ける。

ボールを「なんとなく前の方に蹴る」のだったら
どんな蹴り方をしても、うまくいく。
でも、20M先にある空き缶に当てようとしたら
きちんとした"蹴り方"を知っている必要がある。

正しい蹴り方で、ボールを前の方に蹴る訓練をしている
どう蹴ったって前に飛ぶじゃんか。
気持ちはわかる。ただ、正しく蹴るのは結構難しい。

天才ならね。感覚的に蹴っても
空き缶に命中させられるかもしれない。
でも、ほとんどは"そうじゃない"から。

「技術」というのは天才の"才"を
凡人にも使えるように分析し説明したものだと思っている。
技術を身につければ、天才にしかできなかったようなことも
それなりに、できるようになる。

大学というのは、そういう技術を
身に着ける場所じゃないかと思う。

勉強しながら
「どうしてこんな事を思いつくんだろう」
そういえば、大学生のころ
時折思っていた。

ほとんどの人は天才ではないけれど
技術を身につけ、色々なことを学ぶうちに
たぶん気づくのではないかと思う。
「でも、何もないわけでも、ない」
きっと見つかるその何かに
これまで身につけてきた、天才から学んだ、
技術を全部ぶち込んでみたら
ちょっとは新しいこと、できる、
かもしれない。

「99%の努力と1%の才能」
って、こんなかな、と思ったのでした。



2018年12月15日土曜日

まっすぐ

世の中のもの
だいたいは曲がっている。

まっすぐというのは
なかなか特別なもので
そういったものを調べましょう
というのが線形代数。

曲がったものは、
1つ2つ、点の値がわかっても
全体像は全く見えない。

けど、まっすぐだと。
2点が決まれば
それらを結ぶまっすぐな線は
ただ一つに決まる。

こんな奇跡が起きているのが
まっすぐな世界、線形代数。

そんな奇跡みたいな場所
実際にあるのかい?

そう思うのも無理ないけれど
曲がったものから
まっすぐなものを取り出すのが
微分。

微分して得られた
まっすぐな世界で
調べた情報を
集めて、
元の曲がったものの情報にするのが
積分。

まっすぐな世界は意外と
色々な所に広がっている。


そういえば、こっちに来た当初
とある先生と
数学で世界が広がるためには、奇跡が必要
とそんな話をした。

見渡すと、数学では
いろいろな世界が広がっている。

良いことだ。

2018年12月8日土曜日

おまけ

なんとなく、数学をおまけにしたい
と思っている。

ないがしろにしたいわけではない。
プロ野球チップス、みたいな感じ。

チップスなんだけど、
でも"おまけ"のカードが
みんなほしい。

おまけに夢中になれる。
おまけだからこそ夢中になれる?


と、そこまで思って
じゃあ"メイン"はなんだろう、と思う。

ポテトチップスってすごい。
存在感はカードに負けているかもしれないけれど
確かに、いるし、
しっくりくる。

数学は何のおまけにしたらいいのだろう。
いいメインがわからないので
ほっとくことにしました。

とりあえず、
数学をおまけにしたい。

2018年12月1日土曜日

出先

最後に"出張"をしてからどれくらいたったのだろうか。
あまり間は空いていないのかもしれないけれど
あまりに、久しぶり、と感じている。

色々な場所に行けて良いですね!

そんな言葉をかけてもらえることも多いが
あまりに飛び回ると
生活をしている感覚が薄れる。

自分で食事を作ることは難しい。
宿は清掃が入る。

小さいこと、かもしれないが
何かが足りないとも感じる。

豆苗を育てて、食べるといった
小さいこと、少しずつなことが
好き。

そういったこともできなくなる。


他の事情も相まって
少しの間、出張をしないでいた。

とても良かった。


そうして
久々に知らない土地に来て
これはこれで
大切なことだとも感じている。


とても、我儘であるなと
そんなことを思っている。