2018年11月17日土曜日

校長先生のお話

「校長先生のお話」
大抵はつまらないものの代名詞。

中学、高校の頃
ぼくは校長先生のお話が楽しみだった。


青春という文字に、なんと横棒の多いことか。
諸君、この文字は幾多の苦難、挫折を乗り越えて進む
まさに青春そのものである。


男子校の良いところは、学内に男しかいないところであり
男子校の悪いところは、学内に男しかいないところである。


楽しい練習はない、厳しい練習を楽しめ。
ある部活動の合言葉に、私はひそかに膝を打った。



記憶を辿っているのできっと色々違うけれど
今でも覚えているのだから、すごいことだ。

ものすごい量の本を読む方だったとのこと。
本当は、作家になりたかったけれど
周りの期待と、母校への愛のため
校長先生を引き受けた、らしい。

彼のおかげか、国語の先生に面白い人がたくさんいた。
ぼくは、数学者である。
30歳を超えるまで、文章を読むのが
とても、とても苦手だった。
ここ最近、なぜか
むかし国語の授業の課題で
買わされた小説を読み直していた。
かなり古い言葉で書かれているものも多い。
当時、文章を読むのが苦手で仕方なかったぼくは
読むのが辛くて辛くて、辛かった。

いま、ぼくはそんな小説を、原文で読める。
面白い、と思える。

干支ひとまわり以上して、
漸くぼくに面白さをくれた、課題図書。

教育とは、いったいなんだろう。
少しずつ存在感を増す冬の香りを感じながら
不断より少し、静かに考える。

先日、校長先生が亡くなったそうです。
ご冥福をお祈りします。