高校3年生の夏休み。
教室は自習室として解放されていた。
家で勉強するのが苦手だった僕はよく高校に行っていた。
1時間半ぐらいかけて。
勉強もしていたけれど、校庭に走りに行ったり、校内を散歩したりもしていた。
「15分考えてわからなかったら、答えをみる」
みたいな意見が受け入れられず、同じ問題を1日ずっと考えたりしていた。
僕はあるいたずらを始めた。
初等幾何が好きだったけれど、どうやら受験に初等幾何はほぼ出ないらしい。
補助線を引いたりして問題を解くのも好きだったが、
そのうち僕は自分で問題を作るようになった。
高校3年生、みんなが受験勉強をしにくる教室の黒板に自作の問題を書いておいた。
あのとき結構「初等幾何好き」がいた。
「ばかやろー、気になるじゃないかー!」
と言って、僕の作った問題を解いてくれる友人たち。
受験に直接は役に立たないけど、楽しかった。
日によっては、わざわざ学校へ行って問題作っただけで終わってしまったり。
「まじで、本当にやらなきゃいけないことあるからやめてくれ」
とお願いされて反省したりしていた。
割と本気で迷惑ないたずらだったかもしれない。
今更ながら言い訳をするならば
「こんなに楽しいのになー」
である。
いや、今思うとひどいいたずらである。
いつも、どこまで本気でどこまでふざけてるのかわからないと言われる。
僕はいたって真面目です!
だめか。
「夢中になってやっていたこと」が生きる人生であってほしいと思っている。
実をいうと修士論文で"初等幾何"をふんだんに使ったから、役に立った(僕だけ)。
初等幾何好きな人たちはどこに行ってしまったんだろう。
もっと楽しいことを見つけちゃったのかな。
たしかに僕も、いまはもうちょい楽しい幾何を知っている!
あのときの教室は楽しかったなとふと(うそです、みんながんばってるから)思い出したのでした。