2019年9月14日土曜日

ゆかり

何もない町だ。
いや、昔はもう少し、あったのかなと思わせる、
名残だけがある町だ。

ここでは特に目的はない。
ただ、この地に泊まってみたかった。
何の気なしに選んだ宿は創業120年だった。
大きなホテル。
ここにそんなに人は来るのだろうか。
失礼かな。
僕には、この宿も名残にみえた。

何か見るものはないかと地図を眺める。
うーむ、何もない。
もっとじっくり広く眺めてみると
1時間ほど歩いた先に温泉があった。

昨日から随分と涼しい。
この気温ならよろしいでしょう。
歩いてみることにした。
町をみにきたのだ。歩くのは良い。

土地柄だろうか、隙間が広い。道路も広い。
そんなことを思っていたら
すぐに、田畑に囲まれるようになった。
路地販売で美味しそうな野菜が売っている。
とうもろこしが欲しかったけれど、さすがにどうしようもないので
しばし眺めて、諦めた。

歩くに連れて、太陽がだんだんと本気をだしてきた。
今まで雲に隠れていた彼は、この北の地でも輝いている。
暑い。暑い。
なんとか温泉まで、たどりつく。

温泉に入る準備、万端である。
思いつきで来てみたけれど、
ゆかりの地で湧く温泉に入るだなんて素敵でないか。
わくわくした。